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正体術(せいたいじゅつ)とは
大正時代に興った高橋迪雄(みちお)師とその父、金作師によって創始された体の歪みを整える健康体操のことです。
整体と言えば、野口晴哉(はるちか)師が、その始まりと言われていますが、もとはと言えばこの正体術(せいたいじゅつ)から来ています。
正体術動画
野口師は、この「正しい」という字を「整える」に変えて整体としただけでなく、
この正体術の中核をなす左右重心の偏重が心身に与える影響に趨勢のあることをまとめた「重心論」を引用した左右体癖や
足首の矯正体操からできた「ガス抜き操法」「ダイコン足操法」、最も汎用されたうつ伏せの矯正法からできた「バタン操法」をはじめ、
その原理を応用してできた「矯体操法」と呼ばれる手技や体癖別の整体体操などを作られました。
そして、それは亀井進師の姿勢均整術の体操にも影響を与えました。
野口整体と姿勢均整術を参考にしてできた沖正弘師の「沖ヨガの修正体操」もまた、元をたどれば、この高橋正体術をルーツとしていると言えるでしょう。
そして、仙台の医師、橋本敬三師の「操体法」の源流であることは、あまりに有名な話です。
その他にも療術界では、高名な名人達人たちによってこの正体術の原理や思想から様々な手法が生まれていきました。
しかし、その高橋先生の正体術を伝える会はすでに無くなってしまい、高橋先生のように正体術を使いこなせる人もほとんどいない状態でした。
そんな中、私は、高橋先生のお書きになられました著書や様々な療術を研究、実践した結果、誰でも正体術が行えるように体系化することに成功しました。
月刊秘伝2009年10月号に掲載されました。
幻の高橋正體術を求めて 神崎崇嘉
寝る前の5分で出来る 神崎流「正體術健康法」
正体術(せいたいじゅつ)と正体術矯正法とは別物です
正体術とは、ある程度大きなゆがみがなくなった人が、健康法として毎日行う物です。
そして、正体術矯正法とは、その方のその歪みに合わせたオーダーメイドの矯正体操のことを言います。
この正体術は、矯正法を行った後、すぐに行っても良いですし、矯正法だけを続けていき二度寝したくないくらいすっきりとした気持ちの良い目覚めが来てからは、矯正法は止めて正体術だけを行うのです。
正体術とは、大正から昭和の初期に正体術普及協会をとおして活躍された故高橋迪雄先生が創始された健康法ですが、身体に大きな歪みのある人は行い辛い欠点があり、その前段階にあたる高橋先生の矯正法の効果に一般の関心は集中しました。
正体術の準備
<男性版>
- 1、楽々と仰向けに寝て、全身の力を抜いてリラックスします
- 2、足をそろえたままだんだんに膝を折って、引き寄せていき
- 3、腿がまっすぐに立って足の平が畳についたら、さらにカカトをお尻にできるだけ近づけます。
- 4、できるだけゆっくり膝を曲げて、お尻を上げるようにしてひけるだけ腿を胸にひきつけるように曲げます
- 5、ここで一息ついて
- 6、静かに膝を下ろしていって、もう少しで足のひらが畳につくというところで、急にカカトに力を入れて畳をすりながら勢いよく踏み伸ばします。
<女性版>
- 1~5までは、男性版と同じ
- 6、男性版とちがい、踏み伸ばさずに、ゆっくり伸ばせばよいのです。
この時に腰に力を入れて、しだいに伸ばしてゆきます。その時もカカトで畳をすりながら行います。
正体術
- 1、 正体術の準備の最後の足を伸ばしたところで、アゴを引き、両側の肩甲骨が後でくっつくようにして、手は十分に伸ばし、手のひらは上に向けて、指はいっぱいに開きます。
- 2、 足は膝を曲げずに、足の指をいっぱいに開いて十分に反らし、腿に力を入れ足首を甲側にひけるだけひき、お尻にも力が入るようにします。
- 3、 こうすることで全身の筋肉に力をいれます。体全体が、棒のようになりますが、理想的には、息を殺さず、息だけは普通にして、腹は柔らかいままに保つ。(最初は、腹を柔らかくできませんし息も止めてもよいでしょう)
- 4、 2、3秒こうしたままで、ピクリとも動かさないでおいて
- 5、 急に全身の力を一気に抜いてゆるめる。
- 6、 その後、3~4呼吸くらいの間、普通の呼吸に戻るまで静かにしておく。
ポイント:正体術の完成したポーズでは、腕も脚も床から浮いた状態になります。
正体術も、矯正法も寝る前にたった一日一回行えば良いのです。
準備に男性版と女性版があるのは時代的な背景のためです。
男性は、思いっきり足を踏み伸ばすのでハシタナイので
ご婦人は、もっとオシトヤカにゆっくりと足を伸ばしていくのです。
高橋金作先生(迪雄先生の父上)の時代にできた
今から数十年~百年位前のことですから
体格はもちろん習慣や価値観など今とは全く違っていたからなのです。
この正体術が、最も優しいものです。
顎を引いたままですから
首の弱い方でも行えます。
この正体術では大きな回旋や左右側屈といった歪みの矯正はあまりできません。
大きな歪みがあるとこの正体術その物が行えないので
それ故に矯正法が必要となるのです。
高橋迪雄師の正体術矯正法とは
歪んだ体を正しい姿勢にしたままあるいは少し矯正方向への姿勢をとらせたままで膝や脚を数センチあげて落とし自身の体に軽いショックを与えることでその姿勢を保たせまようという方法です。
体の弱いお年寄りなどには5~10分間正しい姿勢をとらせたままでいさせます。
人の体の歪み方にはいくつかのパターンがあるとした高橋迪雄師の「重心論」によりますと
左重心の人は
- 大食漢で糖尿病になりやすく太りやすい
- 風邪をひきやすく、呼吸器疾患になりやすく、
- 心臓疾患やアレルギー疾患になる傾向が高い
- 若々しく、積極的
右重心の人は、
- 消化器疾患になりやすく
- 肝臓や胆のう疾患になる傾向が高い
- 消極的で老けている
と言われています。
(しかし、これと、全く逆の理論展開をされている療術もあります。)
重心側は
- 骨盤が広がっている
- 膝が外旋している
- 肩が下がっている
- 膝の内側が痛い
- 脚が太い
- 胸が厚い
- その側が緊張している
- その側の眼を押さえると痛い
- その側の歯で噛む
と、言う傾向があります。
ですから、高橋師の矯正法は、左右型と呼ばれるタイプの歪み方だと骨盤も股関節も膝も腰も胸の歪みもたった一つの矯正で同時に矯正することができるのです。
しかし、型どおりの人たちばかりではありません。
時には、胸の歪みを矯正するために骨盤の歪みの矯正はあきらめたり、前後矯正で様子をみたりしていた様子が、その著書からうかがわれます。
次第に衰退していった正体術ですが、高橋師の没後も多くの方々によって研究がされてきました。
その中でも宮本紘吉先生の動診による設計法は、正体術矯正法を身近なものにされただけではなく左右型ではなく左右に回旋の歪みの入ったタイプに対しても安全に正体術矯正法が行えるようになっていました。
私は、この宮本紘吉先生の動診による設計法(新正体法)を他の方々に指導していく中、
「み」「ひ」「右」「左」「R」「L」と言った日常ではなじみのない無味乾燥な1文字の記号を使って矯正法を設計するために頭の整理がつかず脱落される方々が多かったために
一文字の記号による表現をやめて短い言葉に変えた上に複雑だった設計法を
骨盤操法8つ
うつ伏せ8つ
仰向け8つ
の定型に整理しました。(I8Tと言います)
それと同時に高橋迪雄師の矯正法の中で真逆の効果を生む可能性の高いものは
削除するかやり方を変えました。
そうすることで名人芸を排し、誰にでも使える物として
現在、「正体術倶楽部」と言う名称のセミナーでお伝えしています。
一般の方が、自己療法、家庭療法として
そして、柔道整復師、鍼灸師、あんま・指圧・マッサージ師の方々から整体指導者、カイロプラクター、オステオパスの方々に受講していただき好評を得ています。
正体術矯正法動画
推薦の言葉
朱鯨亭先生
メルマガ「路地裏の整体術」より
朱鯨亭のHPの何箇所かで、大正~昭和初期に活躍された高橋迪雄の「正體術」
について取り上げています。
例えば「くびのしびれ」→ http://www.shugeitei.com/palsy.html 。
このページを読んでいただくと分かるように、後々この「正體術」は日本の整体
に大きな影響を与えました。ところが惜しくもその伝統が消えかかっていたので、
常々だれかが復興してくれないかな、と思っていました。
そこに救世主のようにその望みを果たしてくださる神崎崇嘉さんという方が現れ、
さきごろ朱鯨亭の2階で、その復興バージョンを公開して下さいました。伝統を
伝えている方を探し出し、その方から学ぶと同時に、神崎さんの工夫も入れて、
現代人にも分かりやすくまとめられたと思います。
近く、そのダイジェスト版を次の日程で公開されるそうです。整体に携わるほど
の方に、日本整体の源流にして、しかも不思議な効果のある、この「正体術」を
お勧めします。お申し込みは神崎さんの方へどうぞ。
NPO法人・氣道協会代表、長谷川淨潤先生
(2008年9月氣道協会横浜道場開催の「DIY正体術」より)
同じ人であっても、その時の体によって、合う食べ物が違うように、合う「体操」も異なります。
いつも合う体操は、ただ一つだけなのです。
それを体は知っていて夜に自動的に行っています。それが寝返りです。
その体の自動調整の働きを活発にさせ、昼に行おうとしたものが「自動運動」です。
なので、自動運動こそ、唯一無比の「現在の自分に合った唯一の体操」です。
ただ自動運動にも欠陥が二つあります。
一つは、頭が固いと発動しないこと。
一つは、発動しても多くの場合浅いレベルのため身心を調整するまでに時間がかかること。
そのため野口晴哉氏は整体体操というものを創り、それを行う事によって、自動運動が短時間で効率良く体を変える動きになるよう、あるいは行わなくともある程度体が整うように図りました。
その整体体操は10数種あります。それは体癖といって人間の体を10数種のパターンに分類し、その体癖に即した体操を行うというものです。
今回ご紹介する体操は、もっと詳細です。
しかも自分の体癖が何かを知らなくとも行うことができます。
合計すれば千種類以上あるいは数千種類ものバリエーションになるのでしょうが、
その人の現在の体に合わせた「体操を設計」するのです。
その源流は高橋迪推の正體術、矯正法にあります。
(実は、野口晴哉氏が初めて用いた「整体」という言葉は、この「正體」から由来されています。氏の過去の著作では高橋氏の本の文章を殆どそのまま転載したものがある程です。)
その高橋氏の技術が、後年、一方では「操体法」となり、また一方では野口氏の「整体体操」として継承されていったのです。
…と、ここまでは20年程前から知っており、そのため私は原点である高橋氏の本を熟読、研究し、一人「体操設計」に情熱を燃やしておりました。
それを整体操法にも行かす事によって、おそらく数千以上の「矯体操法」(体操設計の他力版と捉えて良いでしょう)を創りました。というのは、その人の現時点の身体に合わせて即興的に矯体的な操法を創れるようになったからです。
非常な効果があり、その頃整体を受けた方多くの方は「一回で治る」という感想が多く、閉口して「整体の効果を言わないで欲しい」と書いた程です。
(現在では、物理的身体だけでなく、さらに身体あるいは精神その他の様々な面を深く調整するため、必ずしも毎回矯体操法を行うわけではなく必要な時に活用しております。)
また、この体操設計の技術を後世に伝えなくてはならない、という思いから講座も行いました。(現在、残っている『体操設計法講座』がそれに当たります。DVDでまだ販売もされているようです。)
そのように、私だけでなく、野口晴哉師も多大な影響を受けた正體術、矯正法ですが、その継承は、先述した以外に、もう一つの流れがあったのです。
それを、今回講師を担当する神崎さんより伺った時は驚きました。
また、実際に貴重な資料を拝読させて戴いたり、そしてまた合宿にて神崎さんより、その技術を披露、体験させて戴き、高橋氏の技術が更に深まり、そして整合されていることを目の当たりにしました。
長い紹介文となりましたが、この技術は、大袈裟ではなく、現在地球上では神崎さん一人が継承されているものです。
今後の世界のためにも公開する義務があると申し上げ(←そこまで実際には言っていませんが、その思いは本当ですので)、岡山在住の神崎さんにご無理を言って、今回の講座が実現となりました。
どうぞ、体操設計に興味のある方は、この機会をぜひご活用ください。
(なお神崎さんは技術に関しては職人肌の方です。
ですから有名講師のように説明が流暢というわけではありませんが、その分、技術と直感は素晴らしい。
そしてそれ以上に、その真摯で実直なお人柄は私をして常に尊愛させて戴いております。)
なお、当日は、講座後、神崎先生の個人指導の時間を設けました。
講座は技術や知識を修得するものですが、個人指導では「今のあなたに会った体操」を設計します。
ぜひ、この機会をご活用して下さいませ。
(────ちなみに私も真っ先に予約します。)
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